作品名
『ミルク・タイム』
作者
22-156氏






今日はハルヒが風邪で休むという空前絶後の出来事が起き、本来なら部室に集まる用事も無いはずだが、なぜか習慣的に俺の脚は部室に向かう。
長門でも誘って図書館にでも行くか、それともハルヒの見舞いにでも行ってやろうかと思案しながら、俺はドアをノックする。
朝比奈さんの可愛らしい返事が聞こえるだろうと思っていたのだが、ひょいとドアを開けて顔を覗かせたのは古泉のにやけた面だった。
「どうした、古泉、ハルヒなら休みだぞ。」
「ええ、機関から連絡を受けてます。ちょっと僕は出かけることになりそうですね……涼宮さんがうなされているもので。
バイトが終わったら連絡を入れますので、後でお見舞いにでも行ってあげてくれませんか?」
そい言い残すと古泉は出て行った。忙しい奴だな、まあ、同情しないでもないが。
俺は部室に入る。長門はいつものように読書、朝比奈さんはにっこり笑って首を傾ける。
「こんにちはぁ、キョンくん。涼宮さん、お休みですかぁ、心配ですぅ…。」
いやいや、あいつは殺したって死にませんよ。風邪のウイルスなんて今頃恐怖と戦っているところでしょう。
「うふふ、そうですねぇ。」
心なしか、朝比奈さんの目が妖しく光ったようだ。朝比奈さん(大)のミステリアスな空気に近いような…。
朝比奈さんは長門の方を見やる。火花のようなものが、二人の視線がかち合う空間で飛んだような気がした。
「それじゃあ、キョンくん……。新しいお茶の葉を買おうかと思ってるんですけどぉ…一緒に―」
「無理。」
長門が朝比奈さんの言葉を断ち切った。
「彼は私と一緒に図書館に行く。その後、涼宮ハルヒの状況を確認するために涼宮ハルヒの家へと向かう。それが私がここにいる理由、彼がここにいる理由。」
二人はすごい目つきで睨みあう。あれ、変だな、俺の体が震えてきたぞ?
いやまあ、ハルヒの家に見舞いに行こうかとは考えたが……古泉に頼まれたことだしな。
「……キョンくんは、今来たばかりで疲れてます。今、お飲み物を入れますね、キョンくん。」
朝比奈さんは、得意のお茶で長門を引き離しにかかったようだ。長門はなすすべも無く動作を停止する。こればかりはな。俺はお茶を入れてくれる朝比奈さんの 方を――
ってあれ!!
朝比奈さん、な、何で胸を露出させるんですかっ!?たわわな果実が二つむき出しですよ!
「いや、みないでぇ……。うふ、お茶じゃなくて、ミルクを入れますから……あたしの。」
出るんですか?何でですか?未来人だからですか?というか、俺がそれを飲むんですか?いいんですか?
朝比奈さんは意識が混濁する俺をよそに、乳首をこりこりと弄くりながら、コップに白濁する液体を注ぎはじめる。
「えいっ、えいっ。きゅぅん……あん…。」
やばい、鼻血でそうだ。俺の脳みそは一気に加熱されて、タンパク質が変質する寸前だ。

「…まるでホルスタイン。」
長門の絶対零度の声に、俺は凍りついた。
恐る恐る長門の方を見ると、長門は液体ヘリウムのような目を朝比奈さんに向けている。再び火花が散る。

「………キョンくんはあたしのおっぱいが大好きなんですぅ。Mikuruフォルダに入れて毎日眺めているんだから。ぺちゃんこの長門さんには縁がない話で すけど…。」
げ、ばればれだったのか。つーか、怖いです、朝比奈さん。
「ぺちゃんこではない。これが観察行動に適したサイズであり――」
「キョンくぅん。」
朝比奈さんが長門の言葉を断ち切ってこっちを向いた。暴力的に胸が弾む。
言いかけた言葉を切られて長門は口をつぐむ。しかし、その目は…、うわ、切れてる。
「コップ持っててくれませんかぁ……お願い。」
俺は震える手でコップをささげ持つ。そこに朝比奈さんはミクルミルクを搾り始める。
俺の目の前でたわわな乳房が揺れ、揉みしだかれる。近い、近いです。生まれてきてよかった。
「ね、空いてるほうの手で、搾ってぇ。」
朝比奈さんは俺の左手を誘導する。俺は言われるままに朝比奈さんの乳首をつまみ、ぴゅる、と液体を押し出す。
「わぁ、上手ですぅ。んん、気持ちいい……。あん」
ああ、朝比奈さん、俺の息子も特濃の白い液体を分泌したがってます。
「うふ、後でね…。さ、出来ました。味わって飲んでね。」
朝比奈さんがミルクの入ったコップを差し出す。
と、いきなり長門がコップを奪った。おい、長門、どうするつもりだ!
「検査が必要。」
長門はおもむろにコップを飲み干す。朝比奈さんは怒りに震えて、うっすら涙さえ浮かべている。視線が長門を睨み殺しそうな勢いだ。
長門はコップを机にカタンと置いた。
そして、あろうことか、床に、ぺっ、とつばを吐いた。

「腐っている。」

俺は部室で震えていた。宇宙人と未来人は怒りを全身に漲らせて火花を散らしている。
誰でもいい。
ここから俺を連れ出してくれ。


おしまい









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